『 2023年11月 』の記事

大津市一里山『釜ゆでパスタ&甘味 凛じろう 和モダンのリノベーション』vol.1

吟優舎は、住居のリノベーションだけでなく、店舗やゲストハウスといった施設リノベーションのご依頼も大変多く承っています。

今回のご依頼は、大津市の商業施設「FOLEO」の中にあるパスタ店「凜じろう」様です。

以前、系列店である「ゆる音家」様の店内改装をお任せいただいたことがきっかけとなりました。

こちらがそのゆる音家様の写真です。
地元山科ではとても人気のあるお店で、軒下の「ばったり床几(しょうぎ)風」のベンチあたりに行列ができることもしばしば。

ゆる音家様のリノベーションでは、カウンターにタイルを貼ったり

アンティーク建具を入れたり

お手洗いを直したりといった施工をさせていただきました。
その工事をきっかけに、今回の店舗改装のご依頼です。

「凛じろう」様が位置する大津市一里山から南草津は、全国的に見ても大変人気の住宅地。

子育て世代の30〜40代のファミリー層が多く、急激に人口が増えたエリアです。そんな地元のお客様に選んでいただけるよう、親近感がありながらも上質な和モダンのデザインをご提案いたしました。

改修前の店舗はとても素敵ですが「和」の雰囲気はほとんどありません。

凜じろう様は、お箸と蓮華でいただく種類豊富な和パスタと自家製わらび餅の専門店です。

そのコンセプトに合わせて、和の感性が光る落ち着きのある空間へと内装を施してまいります。

他店舗の営業の邪魔にならないよう、工事のほとんどは夜間工事で行います。

担当者一同、気合を入れております。続報をご期待ください!

blogged by 黒川京子

京都市東山区 『山手の街並みに佇む町家リノベーション』 vol.5

京都東山区の『山手の街並みに佇む町家リノベーション』、続報です。

前回までのお話はこちら→vol.1 vol.2 vol.3 vol.4

今回は、工事現場から補強の様子を中心にお伝えします。

現場に、解体で取り除かれたボロボロの柱が置かれていました。 これは床下の木材のひとつ「大引(おおびき)」です。

このように家を支える土台となる部分です。

Vol.3でシロアリの被害についてお伝えしましたが、この大引きも深刻なシロアリの被害を受けていました。

築年数の古いお家は、時代の流れとともに周りの環境が変化し、建築当時の地盤より床下が低くなっていることがあります。そのため床下に水が流れ込んで湿気がちでシロアリにとって格好の環境となり、被害が大きくなったのでしょう。

今回のリノベーションでは、全体に防湿シートを敷き込んだ上でコンクリート土間を打ち、その上に基礎を作ります。シロアリが上がってくることはできなくなるので、新しいお家ではシロアリの被害はずいぶんと減ることでしょう。(vol.3参照)

こちらも、シロアリにより破損された柱です。

シロアリは水のあるところを起点にして1mほどしか移動できませんが、屋根から雨漏りがあると、どこまでも登ってくるので被害が甚大になります。

このように基礎を作って土台を入れ、シロアリで破損した木部は切り外し、土台と強固に繋ぐことで補強を行いました。

広報担当者、現場の大工に話を聞きました。 「こちらのお宅のシロアリの被害、ひどかったですか?」

「あちこちボロボロでしたわ。けど医者の手術のようにお腹を開いてみて『手の施しようがありませんでした』って閉じるわけにはいきません。シロアリの被害がひどかった部分をぜんぶ取り除くのに時間がかかって、なかなか大工道具を持たせてもらえませんわ」

冗談まじりにそう言う大工でしたが、やはり全体的にシロアリの被害があったようです。 弊社の熟練の大工の手によって傷んだ部分が取り除かれ、補強を行います。 「任しといてください」と頼もしい言葉が返ってきました。

さて、家が建ってしまってからは見えなくなる部分をご紹介します。

こちらは、構造用合板で柱と柱、柱と梁を繋いだ「耐力壁」です。

使用している「構造用合板」は、薄くスライスした板を重ねて一枚の合板にしているので、反りにくく強度が高いという特徴があります。壁の下地に使うことで地震に強い壁に仕上がります。

仕上げをすると見えなくなりますが、この処理をするとしないでは耐震効果に雲泥の差があるので、欠かせない部分です。

これらは特に補強が必要な場所に施工します。その判断は物件ごとに検討し、現場担当大工と弊社所長が行っています。

リノベーションにあたり、仮の柱を入れた写真です。

今回のリノベーションでは、庭に面した窓の部分をより広く見せるよう、柱を何本か抜きました。全体が仕上がるまで、崩れないように仮の柱(写真の斜めになった柱)をジャッキで取り付けています。

濡れ縁(壁や雨戸の外側につくられた縁側)の上部分にあたる、化粧軒天です。

シンプルな軒天のお家が多い中、和風建築では化粧垂木(だるき)を取り付けて美しく仕上げることも多々あります。

今回のリノベーションでも、奥行き135cmの長めの軒を作り、その軒天(軒裏)は創意工夫をこらし美しく仕上げました。大工の熟練の技が生きた部分ではないでしょうか。

まだまだこれから、問題ある部分を補強していきます。 続報をお待ちください!

blogged by 松山一磨 & 黒川京子

京都市東山区 『山手の街並みに佇む町家リノベーション』 vol.4

京都東山区の『山手の街並みに佇む町家リノベーション』。続報をお届けします。

前回までのお話はこちら→vol.1 vol.2 vol.3

弊社スタッフ、施主様ご夫妻とともに京都御池にあるタカラスタンダードショールームを訪れました。

ここは、キッチンや浴室などに設置する製品が展示されているショールーム。専属アドバイザーによる説明もあり、製品を見たり触れたりすることで、使用感を確かめることができます。

弊社はサイズ感やデザイン面の視点から、施主様の製品選びをお手伝いをします。

施主様は、シックな木調デザインのシステムキッチン、浴室暖房や乾燥機など機能が充実したホーローのタカラスタンドード製の浴室を選ばれました。

新しく生まれ変わる家に、これらの製品が実際に設置された様子が早く見てみたい!とワクワクした広報担当者です。

ショールームを後にした一行。

施主様とともに現場へと向かい、工事の様子を見て回りました。

最初の回(vol.1)で前回お伝えしたキッチンの上部です。

閉じられていた天井を開けると… 往時を偲ばせる、通り庭上部の火袋と高窓が現れました!

こちらは、改修前のキッチン。吹き抜け部分が閉じられていたので、ずいぶん印象が異なります。

子どもの頃この家にお住まいだった、施主である奥様。

「あの高窓、あるのは覚えてました。途中で天井を閉じたんです。古い家だから、家の中は何回も直してたんですよ」

施主様宅のように、昔ながらの町家はその後の改修で天井を閉じてしまうことが多々あります。

今回のリノベーションでは、隠されていたこの火袋を復元し、窓ガラスはペアガラスに交換することで光も取り入れます。

元々の火袋を復元することで、町家独特の天井の低さを解消した広々とした空間が出来上がることでしょう。

解体したことで、壁や柱などこれまで見えていなかったところがあらわになっています。

「すごいな、こんなんでよう建ってたな、ボロボロやわ」とご主人。

ここに補修を加えながら、耐久性もデザイン性も優れた家へと生まれ変わらせるのが吟優舎の仕事。気合いが入ります。

「子どもの頃の思い出が詰まってるから…懐かしいわ」と家中を見つめる奥様。

「きれいになるのが楽しみですね」とお声をかけると「本当にね」と頷かれました。

一体どんな家に生まれ変わるのでしょうか。広報担当者もとても楽しみです。

blogged by 黒川京子