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京都市左京区『杉皮塀のある町家』改修 VOL.6 【 完成編 後半 】

【写真をクリックすると、大きく見やすくなります】

 

(after)洋のリビング ・吹き抜け

 

杉皮塀のある町家、完成編【 後半 】をお届けいたします。

※過去ブログへ → VOL.1・ VOL.2VOL.3・ VOL.4・ VOL.5

写真は、キッチンから見た洋のリビング。

 

(after)玄関内周り

 

天井を撤去し、屋根に天窓を造作しました。

吹き抜けにすることで、大きな梁や柱、勾配の屋根裏が見え、

変化に富んだ空間が創り出されました。

そして天窓からの光がさらにその変化に彩(いろどり)を添えてくれます。

このお屋敷ならではの美しさが際だったように思われます。

 

(after)吹き抜け 〜02〜

 

夕暮れの陽光が、天窓から吹き抜けへ差し込み、

様々な梁影を映し出し、退屈しません。

ちなみに上部の丸太の梁は、以前から有った古いもの。

下に見える角材の梁は、デザインと補強を兼ねて造作した新しいものです。

見た目には、どちらも元々有った古い梁に見えますが・・・。

 

(after)両開き窓を引戸に改造

 

リビングスペースの両開き窓は、

新しく外格子を取付け、そのまま引戸にリフォームしました!!

既存の開き窓の建具に溝加工を施し、納めています。

 

(after)アンティーク戸

 

室内各所に大正から昭和初期製造のアンティーク扉を設(しつら)えました。

扉の向こうは、和のリビングスペースです。

 

(after)和のリビングスペース

 

変色がなく、肌触りの優しい和紙の市松畳

オリジナルの京唐紙(からかみ)

新規造作のコンパクトでかわいい書院

個性豊かな和のリビングスペースの完成です。

 

(after)隠れ家的な書斎

 

押入の隣には、奥様の強いご要望であったミニマムな書院が完成しました!!

幼いお子様の様子を見ながらササッとメールを書いたり、本を読んだりと・・・

隠れ家のような空間で、作業にも集中できそうです。

 

(after)京唐紙(からかみ)の襖

 

襖(ふすま)は、伝統ある京唐紙(からかみ)へ貼り変えました。

柄(がら)はもちろん、紙色、紙質まで選んで、昔ながらの版木を使っての職人の手で作られる京唐紙です。

一点しか存在しない本物の逸品です!!

 

(after)新しい階段

 

さあ、二階へどうぞ。

階段は傾斜を緩(ゆる)くし、お子様が登りやすいように

段数を増やしています。

手摺(てすり)も大工造作で製作したオリジナルです。

 

(after)2階の洗面 〜01〜

 

町家イメージの洗面台の完成です!!

右のアンティーク戸(二階トイレ入口)とのバランスを考え、

この家の風格に合う、”渋さ”のあるデザインに。

陶器製の洗面ボウルが載(の)る天板は、一見(いっけん)、木の板に見えますが、

水の変色や腐れを考慮して、木肌色の陶器タイルを採用しています。

 

(after)2階の洗面 〜02〜

(after)2階の洗面 〜03〜

 

照明・鏡・陶器製洗面ボール・タイルなどは、

『  大正期の町家の 趣(おもむ)き  』を表現するように、

設計デザイン担当者が現場で実際の色や風合いを確認して選んだものです。

 

(after)和室の押入棚

 

一階和室の押入。

ここは二つあった階段の一つを撤去して収納にリフォームしたもの。

施主様のご要望をお聞きして、従来の中段のみの押入でなく、

洋服ダンス代わりにも使えるように

可動式の棚やネクタイハンガー、ズボンハンガー、パイプハンガーを設置しました。

 

 

(after)ウッドデッキバルコニー 〜01〜

 

一階キッチンの屋根上に空中庭園さながら!? 広いウッドデッキバルコニーを新設しました!!

正面にある目隠しの塀は、手前と奥に縦板を交互に並べて造作した

菖蒲張り(あやめばり)という和の木工仕上げです。

視線を遮(さえぎ)り、風を通します。

 

(after)ウッドデッキバルコニー 〜02〜

 

お子様が簡易プールに入って遊んだり、

外でちょっとした軽食をとったりできるように、

ここにもかわいいタイル仕上げの手洗い場を設置しました。

 

さて、最後のお掃除が済み、メンテナンスの日まで、

私達スタッフはこの家とお別れです!

 

築80年以上の風雅なお屋敷。

この家を引つ継がれた若きオーナー様のセンスと往時の細やかな

彫刻や加工が施された素敵なデザインのコラボレーション(融合)。

新たな80年間を超えて、また次に受け継がれていくことだと思います。

 

弊社の建築とデザインは、完全な復元ではありません。

残すべき良きものは残し、新しい部材が馴染むよう、

設計デザイン担当者と職人が奮闘した結果が、こちらのお屋敷です。

いかがでしょうか?

 

最後になりましたが、

ご信頼いただき、その多くを私たちにお任せくださった施主様に

心から深く、お礼を申し上げます。

誠に有り難うございました。

 

こちらの『杉皮塀のある町家』 は、弊社のホームページの

『  ピックアップ施工事例  Before&After  』にて、工事前と完成の様子を

詳しく確認することが可能です。

よろしければ、合わせてご覧ください。

 

『  ピックアップ施工例  』

(→ コチラ http://www.ginyusya.com/pickup/detail_08.html)

 

おつきあいいただき、ありがとうございました。

 

Blogged by  小川 還

( 監修 : 松山 一磨)

 

 

 

 

京都市北区『出格子の町家』に改修 完成です!!

全編6回に渡る『京都市北区町家改修ブログ』もいよいよ今回が完成最終編となりました!!

ブログを綴(つづ)っている私自身が、このブログを通して、私たちの会社や私たち自身の思いなど、気づくことが多くあり、ちょっとビックリした次第です。 このような機会を与えて下さった、今回この工事の施主様である橋本様ご主人様、並びにご家族様に、心から深くお礼申し上げます。

誠に有り難うございます。

さて、以下はその完成写真です。

この工事は、施主様の熱く真剣なご要望を形にしたことと同時に、僭越(せんえつ)ではございますが、デザインしたプランナー新造さんとそれを形にすべく施工にあたった弊社協力業者さん達のまさに精一杯の結晶でもあります。

1ケ月以上に及ぶ工事の間、終始にこやかに暖かく見守るように接してくださった施主ご主人様、お母様、奥様、ご長男様に最後に重ねてお礼申し上げます。

ほんとうに有り難うございます。 またまだまだ至らない私どもでは御座いますが、どうぞ末永いご贔屓の程を心からお願い申し上げます。

吟優舎 松山 一磨(いつま)

夕暮れ時の完成外観。外構(がいこう)土間は、駐車場スペースと玄関アプローチ、その他の3箇所で素材を変えてデザインしました。

解体した歌舞伎門に在(あ)った丸い外灯をリフォームして勝手口に設置。メイン玄関には四角のステンドグラス外灯を設置。丸い外灯と暖簾(のれん)の丸いデザインがマッチしてなんとも嬉しいかぎりです!!

左側隣家との境界に在(あ)ったブロック塀は、“京あぜくら”という塗壁で仕上げました。 また二階のルーバー窓を格子で隠し、簾(すだれ)を交換しています。

出格子の建具は、既存の外壁、木部との調和を考えて、古色の木目出しの塗装を施しました。メイン玄関外灯はステンドグラスの外灯を採用。点灯するとステンドグラスのグリーン色が壁面にほのかに反映されます。

出格子の内観です。硝子(がらす)に写るシルエットがなんとも京都らしく情緒感たっぷりです?!  いかがでしょうか?

外構土間は、石にこだわってデザインしています。墨入り土間コンクリートに角形鉄平石。アプローチには粗肌色御影石。その他土間と巾木には、粒石の洗い出し。 10年後、20年後の変化が楽しみな素材です。

玄関敷居は、粒石洗い出しで製作。土間の御影石のむっくり感は私のお気に入りのイメージです。施主様とご一緒に石屋さんへ赴(おもむ)いて選んだ御影石。 施主様と共にこだわった結果の仕上がりです。

フローリングは、フランスボルドー製の“なぐり加工”のパイン(松)材を採用しています。この個性豊かな表情と存在感は、他のフローリングではなかなか出せません。施主様お気に入りの素材です。また框もそれに合わせて“松材”で製作。印刷加工の建材では表現できない無垢材の落ち着きと情緒があるように思います。

文様(もんよう)、和紙、印刷色を全て選べるオリジナル唐紙(からかみ)で製作した襖(ふすま)とアンティーク建具です。弊社がご提案する特徴的デザインの素材です。町家改修に自然に馴染(なじ)むデザイン素材ではないでしょか?またその間にある柱は、弊社スタッフの植村が1日がかりで既存柱を磨いて補正再生したものです。

天井は、四角枠に桟木を造作して色の違う和紙調クロスを施工しています。写真では分かり難(にく)いのですが、ダウンライトの縁(ふち)も施主様の手でクロスの色に合わせて着色されています。

出格子出窓台の素材は下駄箱と同じものを採用。とっても個性的で雰囲気のある木肌柄です。壁面クロスは和紙クロスを採用しています。紙と木、自然な素材の癒(いや)しを感じます。

 

ようやく完成です。 施主様、住まわれながらの長期の工事。本当にしんどい期間だったはず。そんな素振(そぶ)りは、終始かけらも見せず、毎朝笑顔で迎えてくださったこと、心からお礼申し上げます。 誠に有り難うございました。