『 最近の記事 』
今回よりお届けするのは「伏見御香宮の古民家リノベーション『蔵』」。
ご依頼のお宅は、湧水で有名な伏見御香宮や大手筋商店街にほど近い場所にあります。
伏見はまだまだ立派な町家が残る土地。
街を歩けば、古く美しい町家が多く見られます。
月桂冠の大倉記念館や坂本龍馬が襲撃されたことで名高い寺田屋など、歴史的な建造物にも出会えます。
施主様ご夫妻は、優しいご主人と弾けるように明るい奥様。お二人ともこの伏見のご出身です。
ヴォーリズ建築がお好きで、近江八幡市内に現存するヴォーリズ建築を見に行かれるほどだとか。
今回のご依頼の町家は、もともと奥様のご実家の数件先の並び。
改装されていますが、建てられたのは戦前です。
「高校生の頃、実家は友達から忍者屋敷って呼ばれていたんですよ」と奥様。
「なぜですか?」驚いてお聞きすると、建物正面に町家らしい格子があり、それが忍者屋敷を思わせたとか。
外観も内部も30年ほど前に改装され、忍者屋敷を思わせる格子はもうありません。
今回のリノベーションで「蔵」をテーマにした町家らしい外観に生まれ変わる予定です。
奥様はリノベーションをするにあたり、1年以上前から弊社ホームページとインスタを見ておられたそうです。
「もともと町家が好きだったんです。昔、町家をお昼どころに改修したお店で少し働いていたことがあって和風でいいなあと思っていたんです。終の住処ということで、自分の好きなものに囲まれて住みたいという気持ちが大きくなったんですよ」
「周りの家はどんどん現代風のお家になっていったけれど、歴史的な街並みの伏見が好きだから、自分の家を直すなら町家風の家にと思っていたんです」
今回のプランでは2棟の内、ご両親が住まわれていた1軒を弊社が町家風にリノベーション。
もう1軒は新築して息子さんご家族が住まわれる計画です。
「孫が3月に生まれるんです。体力が持つのかなあと心配!」
そうおっしゃいながらも、とても楽しみなご様子です。
どんな町家に変わっていくのでしょうか、少しずつ様子をお伝えしたいと思います。
blogged by 黒川京子
2024年4月3日 3:27 PM |
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京都東山区の『山手の街並みに佇む町家リノベーション』。
いよいよ完成編をお届けします。
前回までのお話はこちら→
vol.1
vol.2
vol.3
vol.4
vol.5
vol.6
築90年以上も経つ古い町家が、リノベーションによって町家らしい姿に生まれ変わりました。
ぜひご覧ください。
昭和の改装で増築しサッシなどが取り付けられた、リノベーション前の町家。
そしてリノベーション後はこちらです。
木製格子がついてガレージも新たになり、色調も統一され落ち着いた印象に変化しました。
新しいのに時代はむしろさかのぼったような、そんな雰囲気が感じられるのではないでしょうか?
では中をご案内いたします。
改修前の玄関の様子です。ごく一般的な古民家のものでした。
そして新しくなった玄関は…
玄関の土間に墨モルタルを流し込み飾りタイルを入れることで、モダンさも可愛らしさもある表情に変化しました。
飾りタイルの玄関土間は、帰ってきた時にどこかホッとするようなぬくもりがあります。
なぐり調の式台も味わいがあります。
夏には裸足で歩けば、木の質感を存分に感じられてとても心地よいことでしょう。
アンティーク風のペンダントライトが、優しく玄関を照らします。
このライトがあることで、可愛らしさがぐんと引き立つと思いませんか?
玄関の横は小さな洋室になっています。
和室と洋室の間に採用したのは、磨き上げられたアンティーク建具。
古いものを手入れして使うと、新しいものにはない味わい深い雰囲気の決め手となります。
前回お伝えしたように、トイレは玄関横のこちらに再設定しました。
まだまだお元気な施主様ですが、10年後のご年齢や生活スタイルを想定し、ご提案させていただきました。
新たに整えたガレージから、室内を見たところです。
車だけでなく電動自転車用も置けるようになっています。そのためのコンセントも設置いたしました。
アンティーク建具を開けると、和室そしてLDKへとつながっています。
京町家らしい奥に長い間取りが、現代の暮らしへと生かされています。
和室の襖は京唐紙に張り替えました。
京唐紙の面白い点は、何と言っても紙の色とインクの色でお家の雰囲気をガラリと変えるところ。
こちらのお宅は紙もインクも落ち着いた色調をお選びになったので、シックモダンな雰囲気に仕上がっています。
vol.4の回で、施主様が京都御池タカラスタンダードショールームで選ばれたシステムキッチンです。
家電収納棚や柱の色など全体的な色調とよくマッチしています。キッチンの壁面にはモザイクタイルも貼られ、すっきりとした風情にまとまっています。
このLDKにはテーブルと椅子、ソファとテレビを置かれる予定です。
キッチンの奥に洗面、お風呂と続きます。
水回りが一直線で続いているので、家事などの面でとても便利ではないでしょうか。
何度かお伝えした、キッチンの天井です。
「元々の火袋を復元することで、町家独特の天井の低さを解消した広々とした空間を作る」という今回のプラン。
吹き抜けにすることで開放感があり、また高窓から光も取り入れられるようになりました。和風のライトも雰囲気を高めています。
こちらはお風呂の窓を縁側から見たところ。
浴槽に浸かった時にお庭が見えるよう、窓の位置を微調整しています。
弊社では、こういった細かい配慮も欠かせないと考えています。
新しいお風呂も設置されました。こちらでゆったりとバスタイムを楽しまれることでしょう。
建物は完成したとお伝えしましたが、お庭の方は未完成でこれから造園作業に入ります。お庭が完成した際には、改めてこちらでお伝えする予定です。
最後になりましたが、暑い時期から寒い冬まで何度も打ち合わせに足をお運びくださった施主様。
大工に差し入れなど多くのお心遣いをいただき、厚く御礼申し上げます。
「希望していた以上に良い家に仕上がった」とお喜びの言葉までいただき、スタッフ一同とても嬉しく感じております。
心より深くお礼申し上げます。誠に有難う御座いました。
blogged by 松山一磨 & 黒川京子
2024年3月7日 11:02 AM |
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お客様から昨年のクリスマスに
このようなクリスマスカードのような
素敵なお写真と嬉しいメッセージを頂きました。
大きな励みになります。
今年、謙虚な気持ちを忘れることなく、
「お客様に感動して頂く」
という弊社の社是(しゃぜ)が叶うよう
全員で日々の仕事を大切にしていきたいと祈念しております。
blogged by 松山一磨
2024年1月10日 8:18 PM |
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京都東山区の『山手の街並みに佇む町家リノベーション』、続報です。
前回までのお話はこちら→vol.1 vol.2 vol.3 vol.4
今回は、工事現場から補強の様子を中心にお伝えします。
現場に、解体で取り除かれたボロボロの柱が置かれていました。
これは床下の木材のひとつ「大引(おおびき)」です。
このように家を支える土台となる部分です。
Vol.3でシロアリの被害についてお伝えしましたが、この大引きも深刻なシロアリの被害を受けていました。
築年数の古いお家は、時代の流れとともに周りの環境が変化し、建築当時の地盤より床下が低くなっていることがあります。そのため床下に水が流れ込んで湿気がちでシロアリにとって格好の環境となり、被害が大きくなったのでしょう。
今回のリノベーションでは、全体に防湿シートを敷き込んだ上でコンクリート土間を打ち、その上に基礎を作ります。シロアリが上がってくることはできなくなるので、新しいお家ではシロアリの被害はずいぶんと減ることでしょう。(vol.3参照)
こちらも、シロアリにより破損された柱です。
シロアリは水のあるところを起点にして1mほどしか移動できませんが、屋根から雨漏りがあると、どこまでも登ってくるので被害が甚大になります。
このように基礎を作って土台を入れ、シロアリで破損した木部は切り外し、土台と強固に繋ぐことで補強を行いました。
広報担当者、現場の大工に話を聞きました。
「こちらのお宅のシロアリの被害、ひどかったですか?」
「あちこちボロボロでしたわ。けど医者の手術のようにお腹を開いてみて『手の施しようがありませんでした』って閉じるわけにはいきません。シロアリの被害がひどかった部分をぜんぶ取り除くのに時間がかかって、なかなか大工道具を持たせてもらえませんわ」
冗談まじりにそう言う大工でしたが、やはり全体的にシロアリの被害があったようです。
弊社の熟練の大工の手によって傷んだ部分が取り除かれ、補強を行います。
「任しといてください」と頼もしい言葉が返ってきました。
さて、家が建ってしまってからは見えなくなる部分をご紹介します。
こちらは、構造用合板で柱と柱、柱と梁を繋いだ「耐力壁」です。
使用している「構造用合板」は、薄くスライスした板を重ねて一枚の合板にしているので、反りにくく強度が高いという特徴があります。壁の下地に使うことで地震に強い壁に仕上がります。
仕上げをすると見えなくなりますが、この処理をするとしないでは耐震効果に雲泥の差があるので、欠かせない部分です。
これらは特に補強が必要な場所に施工します。その判断は物件ごとに検討し、現場担当大工と弊社所長が行っています。
リノベーションにあたり、仮の柱を入れた写真です。
今回のリノベーションでは、庭に面した窓の部分をより広く見せるよう、柱を何本か抜きました。全体が仕上がるまで、崩れないように仮の柱(写真の斜めになった柱)をジャッキで取り付けています。
濡れ縁(壁や雨戸の外側につくられた縁側)の上部分にあたる、化粧軒天です。
シンプルな軒天のお家が多い中、和風建築では化粧垂木(だるき)を取り付けて美しく仕上げることも多々あります。
今回のリノベーションでも、奥行き135cmの長めの軒を作り、その軒天(軒裏)は創意工夫をこらし美しく仕上げました。大工の熟練の技が生きた部分ではないでしょうか。
まだまだこれから、問題ある部分を補強していきます。
続報をお待ちください!
blogged by 松山一磨 & 黒川京子
2023年11月17日 12:34 PM |
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京都東山区の『山手の街並みに佇む町家リノベーション』。続報をお届けします。
前回までのお話はこちら→vol.1 vol.2 vol.3
弊社スタッフ、施主様ご夫妻とともに京都御池にあるタカラスタンダードショールームを訪れました。
ここは、キッチンや浴室などに設置する製品が展示されているショールーム。専属アドバイザーによる説明もあり、製品を見たり触れたりすることで、使用感を確かめることができます。
弊社はサイズ感やデザイン面の視点から、施主様の製品選びをお手伝いをします。
施主様は、シックな木調デザインのシステムキッチン、浴室暖房や乾燥機など機能が充実したホーローのタカラスタンドード製の浴室を選ばれました。
新しく生まれ変わる家に、これらの製品が実際に設置された様子が早く見てみたい!とワクワクした広報担当者です。
ショールームを後にした一行。
施主様とともに現場へと向かい、工事の様子を見て回りました。
最初の回(vol.1)で前回お伝えしたキッチンの上部です。
閉じられていた天井を開けると…
往時を偲ばせる、通り庭上部の火袋と高窓が現れました!
こちらは、改修前のキッチン。吹き抜け部分が閉じられていたので、ずいぶん印象が異なります。
子どもの頃この家にお住まいだった、施主である奥様。
「あの高窓、あるのは覚えてました。途中で天井を閉じたんです。古い家だから、家の中は何回も直してたんですよ」
施主様宅のように、昔ながらの町家はその後の改修で天井を閉じてしまうことが多々あります。
今回のリノベーションでは、隠されていたこの火袋を復元し、窓ガラスはペアガラスに交換することで光も取り入れます。
元々の火袋を復元することで、町家独特の天井の低さを解消した広々とした空間が出来上がることでしょう。
解体したことで、壁や柱などこれまで見えていなかったところがあらわになっています。
「すごいな、こんなんでよう建ってたな、ボロボロやわ」とご主人。
ここに補修を加えながら、耐久性もデザイン性も優れた家へと生まれ変わらせるのが吟優舎の仕事。気合いが入ります。
「子どもの頃の思い出が詰まってるから…懐かしいわ」と家中を見つめる奥様。
「きれいになるのが楽しみですね」とお声をかけると「本当にね」と頷かれました。
一体どんな家に生まれ変わるのでしょうか。広報担当者もとても楽しみです。
blogged by 黒川京子
2023年11月2日 5:15 PM |
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