『 最近の記事 』
上京区西陣。
築100年以上の歴史がある京町家リノベーション『雅』、続報です。
(前回のお話はこちらvol.1、vol.2)
平成14年に「歴史的意匠建造物」、そして令和6年には「歴史的風致形成建造物」の指定を受けた、由緒ある京町家です。
新しいおもてなし空間『あそんでいきなはれKYOTO』へと生まれ変わらせるため、着々と木工事が進んでいます。
床下部分の施工です。
この現場は、床下状況が良かったので、土(地面)にそのまま施工をしています。
築年数を経た京町家は、床下が湿気がちになり、シロアリの被害を受けていることが多々あります。その状況は現場によって異なりますので、その都度判断し、適切な処置を加えています。
前回vol.1でお伝えした束石の上に「鋼製束/こうせいづか(大引を受ける床束の一種)」を設置しているところです。
この上に、床組の重要な構造である「大引(おおびき)」を施工していきます。
断熱施工です。
床下には、冬の寒さだけでなく、夏の暑さにも有効な断熱性能素材を敷き込みました。
京町家は、冬の寒さが気になるところ。
吟優舎のリノベーションでは、必ず断熱施行を行なっています。
シルバーのものは掘りごたつの専用断熱材です。
以上、現場からの施工報告でした。
blogged by 黒川京子
2024年9月12日 5:58 PM |
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「伏見御香宮の古民家リノベーション 蔵」、続報です。
前回までのお話はこちら→
vol.1
vol.2
vol.3
解体工事が無事に終わり、木工事がどんどん進んでいます。
解体してみると、庭に面した柱がシロアリの被害を受けていました。
傷んだ部分は差し替えて補強します。
写真は、補強を終えたところ。直した柱を他の柱とつなぐことでより強固にしています。
築年数を経た町家は、シロアリの被害がよく見られます。
建物の耐久性にも関わる重要項目です。
吟優舎では、担当者が現場を見て判断し、必要に応じて防蟻処理を行っています。
こちらの施工では、柱の差し替えだけでなく全体的に防蟻処理を実施しました。
写真は、1階床下に潜り込み、全てに塗布を行っているところです。
これらは完成してしまうと見えなくなる部分ですが、家の将来性を見据えてしっかりした施工を追求しています。
blogged by 黒川京子
2024年7月15日 3:19 PM |
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京都東山区の『山手の街並みに佇む町家リノベーション』、続報です。
前回までのお話はこちら→vol.1 vol.2 vol.3 vol.4
今回は、工事現場から補強の様子を中心にお伝えします。
現場に、解体で取り除かれたボロボロの柱が置かれていました。
これは床下の木材のひとつ「大引(おおびき)」です。
このように家を支える土台となる部分です。
Vol.3でシロアリの被害についてお伝えしましたが、この大引きも深刻なシロアリの被害を受けていました。
築年数の古いお家は、時代の流れとともに周りの環境が変化し、建築当時の地盤より床下が低くなっていることがあります。そのため床下に水が流れ込んで湿気がちでシロアリにとって格好の環境となり、被害が大きくなったのでしょう。
今回のリノベーションでは、全体に防湿シートを敷き込んだ上でコンクリート土間を打ち、その上に基礎を作ります。シロアリが上がってくることはできなくなるので、新しいお家ではシロアリの被害はずいぶんと減ることでしょう。(vol.3参照)
こちらも、シロアリにより破損された柱です。
シロアリは水のあるところを起点にして1mほどしか移動できませんが、屋根から雨漏りがあると、どこまでも登ってくるので被害が甚大になります。
このように基礎を作って土台を入れ、シロアリで破損した木部は切り外し、土台と強固に繋ぐことで補強を行いました。
広報担当者、現場の大工に話を聞きました。
「こちらのお宅のシロアリの被害、ひどかったですか?」
「あちこちボロボロでしたわ。けど医者の手術のようにお腹を開いてみて『手の施しようがありませんでした』って閉じるわけにはいきません。シロアリの被害がひどかった部分をぜんぶ取り除くのに時間がかかって、なかなか大工道具を持たせてもらえませんわ」
冗談まじりにそう言う大工でしたが、やはり全体的にシロアリの被害があったようです。
弊社の熟練の大工の手によって傷んだ部分が取り除かれ、補強を行います。
「任しといてください」と頼もしい言葉が返ってきました。
さて、家が建ってしまってからは見えなくなる部分をご紹介します。
こちらは、構造用合板で柱と柱、柱と梁を繋いだ「耐力壁」です。
使用している「構造用合板」は、薄くスライスした板を重ねて一枚の合板にしているので、反りにくく強度が高いという特徴があります。壁の下地に使うことで地震に強い壁に仕上がります。
仕上げをすると見えなくなりますが、この処理をするとしないでは耐震効果に雲泥の差があるので、欠かせない部分です。
これらは特に補強が必要な場所に施工します。その判断は物件ごとに検討し、現場担当大工と弊社所長が行っています。
リノベーションにあたり、仮の柱を入れた写真です。
今回のリノベーションでは、庭に面した窓の部分をより広く見せるよう、柱を何本か抜きました。全体が仕上がるまで、崩れないように仮の柱(写真の斜めになった柱)をジャッキで取り付けています。
濡れ縁(壁や雨戸の外側につくられた縁側)の上部分にあたる、化粧軒天です。
シンプルな軒天のお家が多い中、和風建築では化粧垂木(だるき)を取り付けて美しく仕上げることも多々あります。
今回のリノベーションでも、奥行き135cmの長めの軒を作り、その軒天(軒裏)は創意工夫をこらし美しく仕上げました。大工の熟練の技が生きた部分ではないでしょうか。
まだまだこれから、問題ある部分を補強していきます。
続報をお待ちください!
blogged by 松山一磨 & 黒川京子
2023年11月17日 12:34 PM |
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京都東山区の『山手の街並みに佇む町家リノベーション』。引き続き解体現場からお届けします。
前回までのお話はこちら→vol.1 vol.2
今回のリノベーションにおいて、ある問題が見つかりました。
シロアリの被害が深刻です。
写真は、改修前の家を外から見たところです。
家の横が法面になっていて、周りよりも家の方が地盤が低くなっています。この地形のせいで雨水が家の床下に流れ込み、シロアリにとって格好の湿気がちな環境になったと思われます。
ご覧のように、柱の被害も甚大です。
広報担当者、他にもシロアリの被害を見ようと家の中を見て回っていると…
「足元に気をつけてくださいね!床がだいぶシロアリにやられてしまっているので」。
瓦礫を運ぶ職人から声がかかりました。
足元が危ないので板でカバーしているとのこと。
「僕らも、何回も足がハマったんですわ。めくりましょうか?」
お願いします、と開けてもらうと…
床下の木がボロボロになっていました。
シロアリの性質として、水のあるところを起点にして1mほどしか移動できません。
ここまで被害があるということは、湿気の影響をかなり受けていたと考えられます。
特にひどい被害が見られたのが、庭に面した柱です。
約90年前の建物なので、家の基礎らしいものがありません。柱が地面に接している分、被害がひどくなったのでしょう。
そこで施主様とお話をし、当初の計画にはありませんでしたが、床下全体に防湿シートを敷き込んだ上で、コンクリート土間を全面に打つことになりました。
これでシロアリが上がってくることはできなくなるので、床下に水が流れ込むことがあっても被害を最小限に食い止めることができます。
こちらが土間が打たれた床下です。
ボロボロになっていた柱はこのように新しくなりました。
基礎を作り土台を入れ、シロアリで破損した木部は切り外し、土台と強固に繋ぎました。
「シロアリ対策はとても重要です。ひどい時には通し柱が丸ごと被害を受けることがあります。家の耐久性にも関わってくるので、水捌けは非常に大事だなと感じる部分です」と弊社所長。
年月を経たお家をリノベーションすることが多い吟優舎。
シロアリ対策においても、将来を見据えたご提案と、しっかりした施工を追求しています。
blogged by 松山一磨 & 黒川京子
2023年10月21日 6:49 PM |
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