『 最近の記事 』
京都市南区『子供を育てやすい町家』、11月20日に無事に完成引き渡しをさせて頂きました。
最後までご信頼頂き、温かく見守ってくださった施主様と路地奥にある難しい工事を辛抱強く続けてくれた業者並びに関係者の皆様に心からお礼申し上げます。
誠に有り難うございました。
前回解体模様までご紹介していますが、順に追ってその工事の様子をご紹介させて頂きます。
工事中盤以降は、隔週程度で施主様とご一緒に現場見学を行いました。できるだけ壁面内に隠れる部分をご自分の眼で確認して頂きたいという思いがあります。完成した家を購入する場合と違い、とりわけ私たちが行うリフォーム工事は、古ければ古いほど、構造体の補強がとても重要な要素になってきます。どこまでその補強を行うかは、完成後の大きな地震や台風などのもしもの際に命に関わる最重要課題です。 しかしながら、完成した家ではその正確な内容は、把握できません。その意味でも、工事途中の状態確認を施主様とご一緒に行い、ご説明するようにしています。
以下の写真はその構造部分の状況です。 リフォーム工事の補強としては、なかなか見れない施工部分かもしてません。
既存の梁補強。その横に新たに梁を入れてその両方をボルトで結合します。また2階の床下地は、24mmの構造用合板でその構造材(梁・ささら)を固定しています。いわゆる剛床と言われものです。
既存梁の下部からの補強です。その位置や状態、また間取りに合わせて、補強の方法を選択しています。先の写真同様にボルトで頑強に2本の梁を接合しています。この接合こそ補強の要(かなめ)なのです。この接合をビス留めで終わらせている施工を見ることが稀にありますが、手抜きとまでは言わないにせよ、弊社では有り得ない施工方法です。
以上2つの補強工事を大きく見た映像です。既存の構造材と新たな補強材がボルトで短いピッチで接合さてれいることが分かって頂けると思います。また構造用金物で主要な全てのコーナー接合部を結合しています。
側面からの梁補強と下部からの構造用金物による補強。
側面からの梁補強と側面からの構造用金物補強。位置や状況から多種多様な補強金物、補強方法が存在します。
既存の柱と新たな梁を繋ぐ構造用金物。 このような構造用金物は、頑強に2本の構造材を結合してくれます。
柱・梁補強とその二つを結合する構造用金物。さらに側面から構造用合板でもその二つを固めて補強しています。ここは、建物のコーナーにあたる、とても重要な部分です。
梁から張り下げられた構造用合板。間取りの関係上、下に柱を立てられない箇所のため、梁+構造用合板の垂れ壁を造作して補強している状況です。
ほぼ全ての柱を撤去して新たに間取りを造り直す工事です。構造補強に合わせて、着々と新たな柱が立ち、お客様のための新たな間取りが姿を現してきました。
京都の町家の特長の一つなのですが、この建物も両サイドに窓がありません。それを解消する最良の方法が天窓です!!ちょうどご家族が集われるリビングゾーン上部に大きな天窓を設置しました。またデザイン的に垂木(屋根の下地材木)を見せる施工を施しています。
狭い路地にいっぱいに建っている建物。既存の外壁手摺を再利用しようと残したものの撤去後の置き場に困り、大工さん『手摺宙吊りの刑』を考案!?工事終盤までこの状態で我慢してくれた手摺?!最終この手摺がどうなるのかお楽しみに!!
この工事では、中心になり木工事を取り仕切った田中賢次。大工歴40年のベテランです。この工事から新たな木工事(大工工事)スタッフとして弊社に加わった新人?!です。
Blogged by 松山 一磨(いつま)
2012年12月16日 7:40 AM |
カテゴリー:子供を育てやすい町家 VOL.3 |
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床下の補強を行いました。前回のブログでお伝えしたように、この年代の伝統工法で建築された家は基礎がなく、床から上の構造に比べて床下の構造が弱いケースが多く見受けられます。前回ブログで解体後の床下の状況がご確認いただけますが、こちらも例外ではありませんでした。今回はその改修 補強に『根がらみ工法』を採用しました。『根がらみ工法』とは、床下で独立して存在する柱を厚みのある木材で繋(つな)ぐというものです。金物はビスでなく、柱や梁の連結に使う頑強なコーチスクリューボルトを採用しています。次に下が腐食した柱は、腐食部分を除去して新たに柱を根接ぎしました。この際、下からの水に干渉しないように、その柱の下に小さな独立基礎を作り、上げています。
また、下がり傾いていた勝手口庇屋根は、その根元を胴と言われる構造材に繋ぎ補強した上で、ジャッキアップ(文字通り ジャッキで上げて柱を入れ直す作業)を行いました。
ただ単に綺麗にするという工事でなく、町家の工事ではこのような補強補修工事がとても重要なポイントとなります。
床下で独立している基礎を厚みのある木材で連結します。 とても有効な補強工法の一つです。
柱と補強材を留める金物は、ビスではなく構造用のコーチスクリューボルトを採用します。
柱の腐食した部分を除去し、差し替えました。最下部は水を吸い上げなないように独立基礎で上げています。継ぎ足した木材と既存柱の木目を合わせているのが分かっていただけるでしょうか?!
下がった庇を補正するため、ジャッキで上げて柱を入れ替えます。また弱った接合部の補強のため、建物本体の構造材に補強接合しています。
撤去した歌舞伎門に当初から有った、とってもアンティークな外灯です。初めて拝見した時から再生再利用をしたいと思っていました!!
お客様は箔の専門家です。弊社で補強溶接してお客様が塗装のコラボ再生作業!!見事に復活ですヽ(^。^)ノ
塗装は町家工事の要(かなめ)の作業です。 私たちがその塗装作業で最も信頼し、頼りにしている人。その真っ直ぐな気性と真面目さは、国宝級?!です。
サイズカット、補強して設置完了!!次に、すりガラスを装着して、全体を塗装し直します。そして金物の取り付け。アンティークの建具の再生はなかなか手間の掛かる作業なのです!(^_^.)
Blogged by 松山 一磨(いつま)
2012年9月5日 11:05 AM |
カテゴリー:出格子町家 VOL.4 |
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このブログは、一つ前のブログ『京都市北区町家改修 VOL.2』からの続きとなります。
まずそちらをご覧頂いてからの方が、分かり易いと思います!!<m(__)m>
今回の工事の管理監督は私、松山が、 そのサブ管理監督として前田が参戦!?解体工事が伴うリフォームは女性にはなかなか難しい内容です。ただお客様にとっては、何かと話し易いというのは、女性の管理者の良い点だと思います。忙しく又、遠慮なく『ああだこうだ』と私に振り回された一番の被害者です?!
弊社大工の小林(右)と応援大工の大沢さん(左)。規模こそ小さいものの難しい木(大工)工事が満載のこの工事。小林が最も適任と思い担当大工としました。
地中梁的に地面に這(は)わしてある木材と床組を支える大引。いずれもシロアリの被害があります。残念ですが、『安全』と言える状態ではありません。
上の写真の拡大写真
伝統工法の壁面。まさに土と竹と木材で造られた壁面です!!
Blogged by 松山 一磨(いつま)
2012年8月15日 7:26 AM |
カテゴリー:出格子町家 VOL.3 |
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しばらくの間、ブログが止まっており、誠に申し訳ございませんでした。m(__)m
多くの方々から『ブログ見ようとパソコン見てるのに止まっているね!!』『更新してください!!』などなど数々のメールを頂き、嬉しいやら、焦るやらで・・・・(^_^;)
6月の半ばから絶え間のないの着工が続き、その調整に追われておりました。8月いっぱいでほぼ落ち着くのですが、とにかく皆様の応援にもお応えすべく、最近の工事の様子と私たちの近況のご報告を兼ねて、ブログ更新してまいります。m(__)m
ご報告すべき内容が多いため、数回に分けてブログを更新してまいります。
では、さっそく・・・
前回ブログ
『京都市北区の〝威風堂々たる町家″の改修工事の着工と解体』まではブログにてご覧になれます。 今回はその続きをご報告いたします。
ご一緒にお仕事をさせて頂きこれほどまでに楽しく、気持ちの良い方はいないと言ってもけっして過言ではないお客様です。とてもセンスが良く、良いものを作りたいという強い思いを持っておられます。またご家族全員でその思いを共有されているので、素材や色などの『好み』が出る選定においても、スムーズに進んでいきます。これはもちろん、仲の良いご家族だからこそできることでもあるのですが・・・。
今回はこの工事に携わった弊社の協力業者の紹介と解体後の状況を説明したいと思います。
工務店は実に多くの職人を集めて一つの家を造っています。
いわば〝 職人集団 ″ です。 ( 私たち、結構この言葉が好きなのです・・・)(*^_^*)
建築内容によって変わりますが、その数は15から20にのぼります。これだけの業種の職人を集めて一つのものを造る建築は、高度な専門職であり、技術と経験が必要な仕事だと思っています。そういう意味において、他の業種の取引業者とはまた違った関係性が工務店とその協力業者(専門の職人さん達)にはあるように感じます。同じ会社の同僚ではありませんが、それに近い関係性がありますし、割り切りでない前向きな協力の姿勢なくしては、良いものは決して出来上がりません。また、一部を省いて、多くの協力業者が、会社組織ではなく、理屈より気持ちで動いてくれる職人さんであるということもその関係を作っているようです。 さてそんな弊社の協力業者の職人さんと弊社スタッフを下の写真にてご紹介させて頂きます。
おおよそ80年前後が経過した町家です。解体すると勿論この年式の建物なので基礎はありません。当然のことかもしれませんが、白蟻(シロアリ)による被害もあります。いわゆる伝統工法といわれるこの年式の古民家を解体すると概(おおむ)ね共通していることが、梁(はり)や柱、天井裏の構造体の頑強(がんきょう)さに比べて床下が華奢(きゃしゃ)であるということ。そのために頭でっかちなアンバランスな、いわゆる地震に弱い家の構造になっています。
今回は家全体でなく一部分の改修工事ですが、その箇所においては、床下の補強も行いました。
デザインと機能、構造耐力は、どれも重要です。そのどれが欠けてもいけないと考えます。このデザインのためにここが弱くなるということでは、工事は行えません。プロである以上は、この3つの調和が取れるご提案をすべきだと思っています。
さてこの京都市北区の町家の工事、既に工事は竣工しています。また、上の3つのバランスも取れていると思います。 ぜひご覧いただいて、ご検証ください。
電気工事の毛利(もうり)さん その誠実さと優しさは誰にも真似のできない人。 いつも回りの人を気遣ってくれるその姿勢に頭が上がりません。
解体工事業者『ヨウケン』の青木さん きっちり解体・きっちり養生・きっちり掃除 三拍子揃った頼れる解体集団です。 この笑顔が現場には大切なのです!!(*^。^*)
左官工事の須崎さん 温厚と協調の人。もう10年以上のお付き合いです。弊社の工事は難しいことが多く、職人さんにとっては、とても『やり難い』工務店です。とりわけこの工事は、石と左官の工事が多く難易度は『極高』でした。
Blogged by 松山 一磨(いつま)
6:35 AM |
カテゴリー:出格子町家 VOL.2 |
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京都市北区で町家の改修をさせて頂いています。 その内容をご紹介します!!
施工開始が6月1日ですので、早3週間経過しています。
歌舞伎門を撤去してガレージを造成。 また、今はサッシの4枚戸になっている所(もともとはこちらに立派な玄関があったのですが・・・)に当初通りに玄関を復旧するという工事内容です。
お洒落で明るいお母様とご長男ご夫婦、お子様の4人家族。
ザ・京都と言っても過言ではないほど控えめな素敵な御嫁さんが見守る中、お母様とご長男であるご主人様のお二人が中心になって打合せを進めていきました。
昭和初期の典型的なスタイルを残す京町家です。 施主様がとても大切にしてこられたことがよくわかるとても良い状態の町家です。
お話を通して、平凡で普通の改修はしたくないという強い思いがひしひしと伝わってきます。
まさに責任重大の大仕事です!!
以下は施工前と解体時の写真です。 間口もあり、出格子も備えた堂々としたグレードの高い京町家です。
間口が有り、出格子、歌舞伎門を備えた堂々とした京町家です!
工事前の玄関。建築当初は、勝手口でした。ここを残して建築当初の玄関を復旧します!!
建築当初は立派な玄関戸が存在した所。 現在は4枚サッシ戸が付いています。 勝手口横の竪格子。 これも取り替える予定です。
今回復旧する玄関のホールとなる3帖間です。 玄関入った正面に2枚のふすまがあり、その左横に階段へのふすま戸があります。 今回はこの3枚の建具がデザイン的の大きく変わる重要な部分となります。
今回の工事で玄関ホールになる天井の工事前の写真です。 どんな天井になるのか?!お楽しみに!!
歌舞伎門を撤去した状態です。 ここにガレージを造成します。
ここに建築当初の玄関を復旧します。 奥は京情緒溢れる!?玄関ホールを造る予定です。 こうご期待あれ!!
勝手口上の軒屋根が下がっています。 それを眺めているのは、今工事担当大工の小林五夫。
Blogged by 松山 一磨(いつま)
2012年6月20日 7:15 AM |
カテゴリー:出格子町家 VOL.1 |
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