京町家再生 原形へ復元リフォームした『 平成の京町家 』京都市北区紫竹
3代に渡り、大切に住み続けられた間口の有るとても立派な京町家です。当初は立派な玄関と勝手口の二つの出入口が存在したのですが、本来の玄関は、サッシの掃出し窓へと入替られ、玄関として残された勝手口もサッシ製の引戸になっていました。
今回この工事を依頼された施主様は、原形のスタイルの復元と合わせて、京町家らしい形へのリフォームを強く希望されていました。とてもセンスが良いご主人様と奥様、そしてとてもチャーミングなお母様と弊社プランナーとのコラボレーションで生まれ変わった『平成の町家』。原形に戻すという作業と合わせて、オリジナルの建築には無かった『小粋(こいき)』なデザインを随所に散りばめてみました。
☆工事途中の様子が、ブログの平成24年6月〜9月に紹介されています。ぜひご覧ください。
※画像をクリックすると拡大表示します。
外観①
右から出格子、玄関、勝手口。数十年の時を越えて、建築当初のスタイルに復元された京町家のファザード(建物の顔・外観正面)です。
以前よりは、幾分『粋』な面持ちを備えて、さらに “べっぴんさん”に生まれ変わったのではないでしょうか!?
外観②
上の写真の夕暮れの映像です。外灯の照(あか)りが建物のまた別の表情を浮き上がらせてくれます。
外観③
威風堂々たる全景です。皆様ご承知の通り、京町家は、歴史的な理由で間口が狭いものが多いのですが、この町家は間口も広くとても立派な外観を有しています。瓦屋根のスタイルも変化に富み美しく、建築当時の棟梁のセンスの良さが伝わってきます
外観④
メインの玄関です。あえて二枚引違戸にはせずに、片側に幅の狭い固定格子戸を配置しました。バランスを変えることで格子戸の美しさを引き立たせる工法です。京都先斗町や祇園を歩いていると見ることができる京都らしい玄関スタイルの一つです。
外観⑤
真正面からの映像です。前後の配列のバランスが美しく納まっています。
出格子(でごうし)外観
京町家の出窓=出格子です。今回の作製にあたり、京都の町中の出格子を見て回ったと言っても過言ではないほど、検討しました。木製の格子が京都の町並みにとても似合うことをあらためて実感したしだいです。
出格子(でごうし)内観
出格子を内部から見た映像です。ガラス越しに映る格子の影が京都らしい風情を醸し出してくれます。
外構アプローチ①
石畳の玄関アプローチ。
駐車スペースは黒墨モルタルをイメージした小石を埋め込んだカラークリート仕上げ。 そして駐輪スペースは粒石の洗い出し。石の素材で変化のある外構アプローチをデザインしてみました。
外構アプローチ②
アプローチの御影石は、表面の荒削りのものを採用しています。この石は、かなりこだわりを持って施主様とご一緒に石問屋へ行き、選んだもの。このもっこり感は、他の石ではなかなか出せない得難い質感です。
外構アプローチ③
駐車スペース。
黒墨モルタルをイメージした小石を埋め込んだカラークリートの土間。表面に鏝柄(こてがら)を付けてナチュラル感を表現しています。石もそうですが、この素材も水で濡らすとその表情が変化して、ぐっと艶(よ)くなります!!天然素材ならではの楽しみの一つです。
外構アプローチ④
敷居は、御影石の石畳の雰囲気を損なわないように、粒石の洗い出しで造りました。角が壊れにくくする為に、角を丸く加工しています。小さな積み重ねの結果が、良いものを造り出すのだと思います。
格天井(ごうてんじょう)市松(いちまつ)貼り
天井は、格天井にして、和紙調のクロスを市松貼りしています。あえて落差の少ない色目のクロスを選び、品のある仕上りを心掛けました。
唐紙襖(からかみふすま)&アンティーク建具
玄関を入って真正面の映像です。左は、大正期製作のアンティークの木製建具を再生したものです。当初からここに在ったかのようにこのスペースに馴染んでいます。右の襖は、色・紙・文様を選んで製作した唐紙を採用ています。施主様とご一緒にこだわって選んだ逸品です。
玄関の間・ボルドーチョウナ加工フローリング
フランスボルドー製のフローリング。
チョウナ加工を施した面白い仕上げになっています。重厚な存在感は勿論ですが、新しいのに新しく見えないところ?!もとても気に入っています。施主様が、材木問屋で現物を見ながら、こだわって選ばれた素材です。
外灯①
もともとこの町家の歌舞伎門を照らしていたとても古い外灯です。弊社が金物部分を溶接補強し、施主様が塗装をして仕上げて完成したコラボ再生外灯です!!
外灯②
メイン玄関の外灯。こちらは、既製の外灯です。スタイルの良さは勿論ですが、カバーに組み込まれたステンドグラスがとても美しい明かりを演出してくれます。
木製建具
木製建具は、この町家リフォームには欠かせない素材です。材質のみならず、既製品には無いデザインを製作することが可能です。また、取手などの金物も自由に選べ、世界に2つ無いものを作り出すこともできるのです。
石材ディーテイル
石材で小さな部分(ディーテイル)を製作することで、さり気無い個性を出すことが可能です。ここでは、玄関の巾木を御影石で製作し、玄関敷居を小粒石の洗い出しで製作してみました。